角盥

器物の妖怪を付喪神といいます。様々な道具の妖怪がいますが、古くから絵巻などにしばし登場するのがこの角盥(つのだらい)です。

鳥山石燕の画図百鬼夜行に『角盥漱』が載っていますが、それよりも古く『泣不動縁起絵巻』の安倍晴明が祭祀を行う場面や『土蜘蛛草子』などにも登場します。

この角盥は何に使うものかというと水を入れ顔を洗ったりする洗面具です。角盥に湯を入れるヤカンのような形をした道具を半挿(はんぞう)といいます。石燕の『角盥漱』はこの二つを合わせたものでしょう。