小倉の健康ランドで一泊し、できる限り早く三次に向かいました。山陰のほうに向かう線路は恐ろしく本数が少ない。一時間に一本あればまずまずの世界です。途中の電車から風景を眺めていたのですが、妙に屋根がキラキラ光っています。派手な鯱がついているし。
三次駅についてまず目についたものは『鋼の錬金術師スタンプラリー』の台(JR西日本の夏休み限定のイベント)
確かこれ、大阪でもやっていたのを見たことあります。三次って小学生絶対行かないからこんなところ。いくらなんでも僻地過ぎます。
そういえば、ここでは『朝霧の巫女スタンプラリー』(稲生物怪録をモチーフにした漫画)もやっていたはずです。せっかくだからやっていきますか。ちなみに私はこの漫画一巻だけ立ち読みしたことあります。(今は二巻まで読んでいますが)
観光案内所にマップをもらいに行きます。ここで65pもある充実したガイドブックがもらえます。スタンプラリーが終われば是非『稲生武太夫碑』、「物怪プロジェクト三次」の人が今でもあると言っていた祟りのある岩『神籠石』そして魔王の小槌がある寺(これは三次にはないのですが、まったく調べずに行ったので家に帰るまで気が付かなかった)に行きたいところです。そう思ってガイドブックを観ると、『稲生武太夫碑』しかのってないです。一応「稲生武太夫の化け物退治」という題で話が書かれていますが。
観光案内所で自転車を借り、『朝霧の巫女スタンプラリー』の用紙をもらいます。なんだかプリンターで印刷したような安っぽい紙に白黒で地図とスタンプ欄があります。すごくお金かかっていなさそうな感じです。
それでは最初の目的地『三次駅』です。そこでふと考えました。三次駅では『鋼の錬金術師スタンプラリー』以外は見た記憶がないことに。駅に行っても見つかりません。そこで駅員さんに聞きました。
駅の外の微妙な場所にありました。なんだか疎外されているとしか言いようのないところにあります。『鋼の錬金術師』と比べると切なくなります。しかもスタンプはその辺のお店に売っていそうな文字スタンプです。台すらねぇ。インクの色も薄い緑と変です。ここまでひどい場所はここだけと思いたいです。
次はOCプラザというスーパーです。うん、見つからん。こんなものはとっとと終わらせたいのでサービスカウンターで聞きます。二階のおもちゃ売り場の前にあるそうです。このあたりにスーパーの腹黒い作戦がある気がしてたまりません。
それではおもちゃ売り場の前に、ないです。もう嫌になってきました。もうやめたいです。屈辱ですがおもちゃ売り場の人に聞きます。左のほうにあると言われて見てみると、ありました。CDショップの前に。おもちゃ売り場の前ではないとすごく思うのですが。理不尽です。
次はNTT鉄塔です。中央薬局にスタンプの場所を変えてあるとわざわざ書いていますが、普通に薬局のほうを先に見つけましたよ。
この調子で行きたいところです。水道橋と巴橋を一網打尽にと橋の上をサイクリング。水道橋は簡単ですが巴橋は見つからない。点の打っている場所を調べたり、なんども橋の上を往復しても見つからず、くじけそうになるも何とか発見しました。ただし橋の上ではなく横の交差点にですが。明らかに地図で指している場所と違います。これで五つとは本当に嫌になります。
邪悪なのはこれくらいでその後は意外なことにあまり難しくもなく次々とスタンプ発見です。途中ついでに記念碑にも寄っていきました。微妙にこの場所は分かりにくいです。
細田食料品店に来た時、お店の人に話しかけられました。結構遠方からちょくちょく若い兄ちゃんがスタンプラリーをしに来ているようです。
漫画で話題になって初めてこの近辺の人も『稲生物怪録』のことを知ったそうで、飴をいただきました。みなさん、三次にきたら『細田食料品店』です。『細田食料品店』はいいお店です。
この近辺の屋根瓦がキラキラしている理由を聞いてみましたが分からないとのこと。次で最後のポイント太歳神社です。
なんのひねりもなく入り口にスタンプがありました。近くには比熊山の登山ガイドの看板があります。確か、平太郎が登ったのはこの山のはずです。看板には何も描いていませんが、ここを登れば『神籠石』があるのでしょうか。一体登るのにどれくらいの時間のかかる山なのかも分かりません。
ついでに参拝をしていこうと本殿まで階段を上がっていくと先客がいました。他のスタンプラリーをした人かもと思い、『稲生物怪録』について聞いてみると知らないとの事。比熊山に『神籠石』があるのか。一緒に近所の人に聞いてくれるといい、神社の隣の家(というか神社の人の家なんじゃ?)を訪ねます。
家の方が言うには、そんな石の話は知らないそうです。それどころか稲生武太夫は狐退治をした人だそうです。『稲生物怪録』は知名度が低いどころじゃありません。
とりあえず、山を登るのにかかる時間は往復でもたいした時間がかからないようです。(多分30分ぐらいだった気がする)私がじゃあ登ってきますというと。
「イノシシが出るから危険ですよ」
「イノシシは夜しかでないから大丈夫だけど蛇が出るからねぇ」
と二人が止めに入ります。ですが、ここまで来て登らないのも女が廃ると、引き止める二人を泣く泣く振り払い山に登りだしました。
神社から歩くとすぐに隣の西江寺の墓場に出るようです。ここから登ってもよかったかも。さぁ、とうとう入り口です。数日前の八日市で見た小学生の作ったかわいらしいレリーフがあります。ここまでは稲生物怪プロジェクト、がんばっていない感じでしたがここだけがんばっています。ということは『神籠石』までこのかわいらしい看板が続くのでしょう。ついでに可愛くありませんが石仏があります。四国八十八箇所を踏まえているようなので、八十八体あるはずです。
さあ、一つ目の曲がり道、看板があります。どうやら曲がり道ごとに看板があるようです。ふた曲がり、看板です。三つ目の曲がり道、やっぱり看板があります。しかも、比熊山登山道の看板がまたあります。ここまで一本道だということを突っ込んではいけません。きっと今までは登山道ではなかったのでしょう。
さて次の曲がり道……看板がないです。
それ以降レリーフつきの看板は二度と出てきませんでした。稲生物怪プロジェクトは本当にやる気があるのでしょうか。
それにしても、歩くたびにやたらと蜘蛛の巣が体につきます。仕方がないので棒を振り回しながら進みます。絶対にしばらく誰も通っていませんよ、この道。いつまでも石仏が続きます。
夜中にこんな山の中を歩いた平太郎の偉大さを噛みしめながら、陰鬱な気持ちになっていきます。とうとう仏像が終わりです。しかも道が分岐しています。左の道が正解っぽい気がしますが、石仏のラストを見届けるために右へ進みます。さぁ、最後の石仏は……こ、これは怖い。なんだか酷い事に。プロジェクトは変な看板を作っている余裕があるならこの祠の荒れっぷりを何とかしたほうがいいです。見ているこっちが祟られそうなほど祠が崩壊しています。ついでに倒れている石仏を起こしてやってくれ!
さらに嫌な気持ちで次は左の道を進みます。道に何もないと荒れた石仏でもないよりましな気になってきます。不思議なものです。
と、その時足元に妙な気配を感じました、蛇です!私が慌てふためこうとした瞬間に蛇は逃げて行きました。しかもよく見るとシマヘビです。もてあそぼうかとも思ったのですが、そんな気力はもうないので見逃すことにしました。
しかし、人生うまくは行きません、第二の刺客が現れたのです。それは『ナメクジ』。私の手ほどもあるような巨大なナメクジが現れたのです!!今までで一番引き返したくなりました。こいつをまたぐのはすごく嫌です。というか何こいつ?デカ過ぎ!心に余裕があれば写真を撮っておいたのですが、その時はグロすぎて、この映像が入った機械を持っていると思うだけで嫌でした。
やけくそで乗り越えさらに進みます。また分岐がありました。しかも看板は一切ありません。どんな山を登ってもたいてい分岐には看板があるものですが、本当にないです。入り口で見た看板は道が左に進んでいたので左に行きましたが、右に行くとはたしてどこに続いたのか、いまだに謎です。レリーフよりも、ここに看板を置くほうがよっぽど大事だと思いますが。
それからしばらく進むと、ようやく看板を発見しました。いままで『神籠石』のカの字も出なかったのにいきなり本命の名前が出てくるのは納得いきませんが、もう、石をとっとと見て帰りたいです。
というか速攻、石がありました。ここにだけやたらと金のかかっていそうな看板が付いています。触ろうとも思ったのですが、これ以上のろわれると嫌なので触りませんでした。
ついでに『千畳敷』というものがあったので行きました。登りました。もうお家に帰りたいです。
途中ナメクジを踏まないかと恐れながらもとっとと下っていきます。
やっと山を出たときはどれだけ嬉しかったことか!お寺のお堂でお坊さんが檀家さんのために読経をしています。私が山を登ってきたといったら、驚いていました。よっぽど人が来ないようです。『稲生物怪録』のことをいうと、よく知らないらしい。なんだか『フランダースの犬』みたいだな。(『フランダースの犬』は現地では知名度がないらしく日本人観光客が多数来ることによって逆に知られるようになったそうな)
よく分からないですが、私のために読経をしてくれました。なんだかここ最近妖怪巡りばかりだったため、一気に憑き物を落としてもらったような気分です。でも分厚い経典で叩かれるのはかんべんな。のんびりとお坊さんと話した後、スタンプラリーの景品をもらうために民俗資料館に向かいます。
さぁ、景品の原画原寸大のレプリカをいただきます。鬼の尻がセクシーな場面をもらいました。 ちなみに物怪プロジェクト三次のサイトでは
※全ての原画(レプリカ)は単なるコピーではなく 少年画報社のご協力をいただき原画紙への印刷物を 展示させていただいています。
と書かれていますが、明らかに漫画原稿用紙ではないただのコピーが混ざっています。おい!
会場にテレビが置かれていて地元の小学生が見に来ています。ビデオの内容は、巫女委員会なる組織の登場です。巫女委員会って何さ?巫女さんモエの漫画なのでしょうか?一巻だけ立ち読みしたことありますが、そこまでは普通そうだったのに。
それにしても、漫画のキャラクターの顔に自分の顔を入れるのは不気味な気がします。
奥のほうに行くと『神籠石』のレプリカを発見。こんちきしょう。
受付のおじさんとまったりと会話しのんびりとしつつ、ふと時間を見ると、お約束どおり時間ぎりぎりです。
ちなみに次の電車をすごすと次は三時間後です。やってられるか!
あわてて駅にむかい、自転車を返している時間がないので駅員さんに強引に託し、ぎりぎりセーフ。なんか、いろんな意味で疲れました。
まぁなんにしろ、スタンプラリーしている時間があれば、県立歴史民俗資料館に行ったほうがよかったな。(この時そこでは稲生物怪録の展覧会が行われていた)